六郷BASE

大田区南六郷創業支援施設

ROKUGO BASE Magazine

【スタッフインタビュー】「前に進む“出会い”をしてほしい」入居者と世界のハブになる、コミュニティマネージャー

REPORT
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新たな事業に挑戦する起業家や起業希望者、中小企業の方など、さまざまなビジネスに取り組む方が入居する施設が六郷BASEです。ただ単にオフィスを提供するわけではなく、みなさんが安心して事業を前進させられるよう、数々の支援体制を整えています。

今回は、施設運営やコミュニティを醸成する役割を担う「コミュニティマネージャー」をご紹介。入居者が気持ちよく過ごしながら事業を前進させていけるよう、広報やイベント企画、マネジメントなど多岐に渡ってサポートしています。

<コミュニティマネージャーの主な仕事>
大田区内外の企業との引き合わせ
入居者同士の交流促進
居心地の良い雰囲気作り
イベントの企画や運営

どうすれば入居者のみなさんが過ごしやすく、事業の成長へとつながるコミュニティが作れるのか。コミュニティマネージャーの中村 祥之へのインタビューです。

お互いの事業が成長するマッチングを意識

——まず最初に、コミュニティマネージャー(以下、コミュマネ)のお仕事について教えてください。

仕事は基本的に3つ。①人を集める、②集まった人たちの共通の目的やルールなどを作る、③属する人たちが目標に向かうためのコンテンツを生み出すこと、を意識して動いています。その中で、事業計画やマーケティング、利用者サポートなどの細かい業務を幅広く担当しているのがコミュマネです。

——インキュベーション施設やコワーキングスペースでは、入居者のコミュニティ形成に重きを置いていないところもあります。六郷BASEでは、複数人のコミュマネが常駐し、積極的にコミュニティを作ろうとしているのは、なぜなんでしょう?

シンプルに、「そのほうが入居者が成長できるから」だと思っています。成功している起業家のみなさんにお話を伺うと、みなさん「いい出会いがあったおかげ」とおっしゃいます。それは、それだけ多くの人やチャンスに出会ってきたからだと思うので、六郷BASEでも、事業の成長につながる人や資源との出会いを生み出したいと考えています。

——大田区内外の企業と入居者さんを積極的におつなぎするのも、そういう理由なんですね。どういった視点で引き合わせるのですか?

まずは、お互いの事業にとってプラスになるか、ということですね。みなさんが求めているものは事業内容やフェーズによって本当にさまざま。「事業のことを相談できるパートナーがほしい」という人もいれば、具体的に「受発注できる先が必要」という人もいます。そこをしっかりと確認した上でおつなぎするようにしていますね。

——WIN-WINな関係を目指す、と。これまでにマッチングして喜ばれた例はありますか?

アプリ開発をしている入居者さんが「技術と知見がある方に話を聞きたい」と話してくれたことがあり、技術はあるけれどアイディアや仕事がないという方をご紹介したことがあります。お互いの持っているものと課題を知った上で、共通項を提示できるのはコミュマネの強みだと思いますね。

——まったく知らない相手と相談や交渉を始めるのに比べて、話の進みが速いですよね。

そうですね。実際には希望通りの結果にならなかったとしても、その出会いだけで知見や人脈が広がって、長い目で見ると事業の成長につながると思っています。

——スムーズなマッチングにつながる共通項を見つけるために、普段はどんなインプットをしているんですか?

結構しっかりと足を使って情報収集することが多いですね。参加した展示会で企業さんと知り合ったり、町工場には定期的に出向いてヒアリングしたり。他の地域のインキュベーション施設のコミュマネと連携して情報交換することもありますよ。

同じ立場だからこそ「痛みがわかる」関係性に

——六郷BASEでは、施設外の企業だけでなく、入居者同士での交流促進も積極的におこなっています。具体的には、どのように交流の機会を作っているのか教えてください。

まず入居する段階で、ここでは交流を大切にしているとお伝えするようにしています。施設の壁に入居者の写真や紹介を張り出して、なるべくお互いの情報がわかるようにもしていますね。また、新しい方が入ったときの「ウェルカム会」を始めとした、入居者の交流会を月に一度は開催しています。それ以外でも、入居者さんからの希望があったり、こちらで相性が良さそうだなと思ったりしたときに、直接おつなぎすることもありますね。

——「同じ施設に入っている」という共通点があると、いろいろな方と気軽にお話しできるのはいいですね。

同じフロアにいても急に雑談はしづらいと思うので、そこはぜひコミュマネの存在を活用してもらえたらと思いますね。

——入居者同士での交流を大切にしているのは、なぜなんでしょう?

個人的には、同じ入居者という立場だと「痛みがわかる」と思っています。もちろんインキュベーションマネージャー(以下、IM)やコミュマネも相談に乗りますが、やはり外からのサポートになります。“事業に向き合う”という同じ感覚を持つ他の入居者さんと話すことで、具体的な答えが見つかったり精神的にも安心できたらいいなと思っています。

——実際に、交流によって入居者の事業が成長していると感じますか?

一緒に助成金を取ったり、コラボレーションしたり……うまくマッチングした例は数えきれないほどありますね。たまたま同じ施設に入居していた出会いから事業が広がる経験は、こういう場所にいるからこそだと思うので、僕らも嬉しく思っています。

雑談から入居者の“今の状態”を知る

——外の企業や入居者同士でマッチングする際、「入居者がどんなことを求めているか」という情報が欠かせないと思います。そういう声は、どのように集めていますか?

雑談ですね(笑)。顔を見たら「最近どうですか?」と声をかけるようにしています。必ずしも悩みを聞くわけではなくて、みなさんが今どんなことに興味があって、どんな働き方をしているのか、仕事からプライベートまでいろんな話をするんですよ。

——そんなにいろいろ話すんですね。

もちろん、話しかけるのは入居者さんと話すのが楽しいからなんですけど、頭の片隅には「この人は今、こういう状態なんだ」というインプットが残ります。そうすると、また別の人の近況を聞いたときに、「あの人が言っていたことと合いそう!」みたいに、頭の中でつながったりするんです。

——脳内データベースですね!雑談するにも雰囲気が大事だと思うのですが、場の空気をよくするために意識していることはありますか?

笑顔かなあ。とにかく「相談しやすい」「話しかけやすい」という状態でいることを大切にしています。どちらかと言えば、IMは相談する相手だと思うので、コミュマネは気軽に雑談する相手になれたら嬉しいですね。

——どちらの役割も大事ですよね。

コミュマネは「今の自分」で相手の役に立てるのがいいな、といつも思うんです。IMのように専門知識がなかったとしても、むしろないほうが雑談しやすい場面もある。入居者さんたちをサポートしたいという思いさえあれば、事業の成長につながるきっかけを作ることができるのが、コミュマネの楽しいところです。

出会いを生む、イベントの企画・運営

——コミュマネの業務には、イベントの企画・運営も含まれています。こちらは、どんな内容を企画しているのですか?

入居者交流会や施設の見学ツアーのほか、月に2回ほどはセミナー形式のイベントを行なっています。企画の際に意識しているのは、「人を集める」「集めた人の成長を促す」「卒業後も愛着を持ってもらう」という3点。イベントによって、人を集めるためのものだったり、事業に役立つセミナー、卒業生が関わるイベントなどがあります。

また、入居者のみで開催する「リクエスト会」というものもあって、それは入居者のみなさんがやりたいことをコミュマネがサポートしながら叶えるものです。身内の小さなイベントではありつつ、イベントに向けた資料作成やプレゼンの練習にもなると好評です。

——それはいいですね。他にも、これまで開催したイベントで好評だったのはどんなものですか?

僕が企画したものだと、町工場と起業家、地域の人たちみんなで新製品を考えてみる「アイデアソン」は、30名以上の人が集まってくれて盛況でした。みなさんが直接交流しながら、お互いの強みを感じてもらえる場になっていたと思います。また、「イノベーションビジョンピッチ」というイベントでは、東京科学大学の学生起業家さんたちに来ていただき、お互いにネットワークが広がったWIN-WINなイベントでしたね。

——イベントでは、事業を成長させる「出会い」がたくさん起こりそうですね。

そうですね。意識的に「ハブになろう」と思って企画しています。ここにいると、いろいろな起業家さんや企業の人たちに出会うことができて、もちろん勉強になりますし、ロールモデルが増えるんですよね。何歳になっても夢を追いかける人や、大手企業を辞めた人など、「こんな人生があるのか」と、自分の生き方も広がるような。そういう出会いの場でありたいですし、それが入居者のみなさんにとっての良い施設だと信じています。

<中村 祥之>
新卒では東急株式会社に入社。旅行部門で販売を経験。その後学校と企業の両面型の人材コーディネーターとして従事。企業の採用支援や合同説明会の開催、進路イベントを年間150回本以上企画する。現在は大田区創業支援施設のコミュニティマネージャーとして、起業に関するイベントの立案、起業家コミュニティの創出、学生向けのアントレプレナーシップ教育を学校で行う。


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