ROKUGO BASE Magazine
【イベントレポート】AI交流会〜あなたのAIを鍛えよう!〜を開催しました
2026年5月20日(水)、六郷BASEにてセミナー&交流会AI交流会~あなたのAIを鍛えよう!~を開催しました。
定員15名で募集を開始したところ、40名以上のお申し込みをいただき、AIへの関心の高さを感じる機会となりました。
みなさん、AIを使いこなせていますか?
参加者は、起業家をはじめ、AIをすでに業務で活用している方から、「使ってはいるけれど、まだうまく使いこなせていない」と感じている方まで、幅広い顔ぶれ。
共通していたのは、「もっとAIをうまく使いたい」という課題感です。
AIは、文章作成や情報整理、アイデア出しなど、さまざまな場面で使える便利な道具。
一方で、「出てきた答えをどこまで信じてよいのか」「自分の仕事に合った使い方ができているのか」「間違いをどう見抜けばよいのか」といった悩みもありますよね。
今回の交流会は、AIに答えを任せるのではなく、AIの出力を見直し、自分の判断に活かすための考え方を学ぶ時間となりました。

そもそも、AIはどうやって答えているのか
ゲストは、東京都市大学 教授の岩尾徹氏。
岩尾先生は、電力・エネルギーと環境を原点に、AI、公共交通、地域・教育、探究・共創といった領域をつなぎながら、これからの社会のあり方を構想し、かたちにする活動に取り組んでいます。
まず語られたのは、「AIはそもそもどうやって回答を生成しているのか」という仕組みの話でした。
AIは、正解をそのまま知っていて取り出しているわけではありません。
学習したデータや入力された文脈をもとに、次に続く可能性の高い言葉を予測しながら、回答を生成しています。
その背景には、正解データをもとに学ぶ教師あり学習、データの構造やパターンを見つける教師なし学習、文脈の中から次に続く情報を予測する自己教師あり学習など、さまざまな機械学習の考え方があります。
だからこそ、AIの回答は自然な文章に見えても、不確かな情報や事実とは異なる内容が含まれることがあります。
AIが意図的に間違えようとしているわけではありませんが、使う側が前提や根拠を確認し、最後は人間が判断することが大切です。

AIに「考えて」と任せず、見方を渡す
岩尾先生からは、AIの出力を確認するための考え方として、演繹(えんえき)法、帰納(きのう)法、アブダクションも紹介されました。
演繹法は、ルールや条件に照らして矛盾がないかを確認する考え方、
帰納法は、複数の事例から共通点や傾向を見つける考え方、
アブダクションは、違和感や観察結果から、もっともありそうな仮説を立てる考え方です。
AIにただ「考えて」と頼むだけでは、答えの根拠や前提が見えにくくなることがあります。
大切なのは、AIにどのような視点で考えてほしいのか、何を確認してほしいのかを渡すことです。
演繹、帰納、アブダクションといった型を意識することで、AIの出力をそのまま受け取るのではなく、仕事に使える判断材料として整理しやすくなります。
ハルシネーションとの付き合い方
続いて話題になったのが、多くの参加者が悩む「ハルシネーション」の問題です。
ハルシネーションとは、AIがもっともらしく見えるものの、事実とは異なる回答を生成してしまう現象です。
岩尾先生からは、怪しい回答を見抜く具体的な視点と、ハルシネーションを起こしにくくするためのプロンプト設計の工夫が紹介されました。
たとえば、固有名詞、数字・日付、断定表現、手順などは、特に注意が必要なポイントです。回答の根拠や出典を確認すること、必要に応じて一次情報と照合すること、不確かな部分は無理に断定せず判断を保留することも欠かせません。
AIを活用するうえでは、早く答えを出すこと以上に、前提を確認し、論点を整理し、根拠を確かめることが求められます。
そうすることで、AIの出力を単なる回答ではなく、仕事に使える材料へと近づけることができます。
査読・監査で、抜け漏れや未対応を見つける
当日は、AIの出力を多角的に点検する方法として、6つの視点による査読・監査の考え方も紹介されました。
顧客代表、反対派、現場担当、数字監査人、リスク担当、ブランド編集者といった立場からAIの出力を見直すことで、自分だけでは気づきにくい抜け漏れやリスクを見つけやすくなります。
この方法は、AIにそのまま文章を直させることが目的ではありません。まず、「どこに問題があるか」「何を直すべきか」「まだ対応できていない点はどこか」を洗い出すためのプロセスです。
未確認の前提、数字や固有名詞の誤り、読者に誤解されそうな表現、信用低下につながるリスク、未対応の論点などを、複数の視点から確認します。
そのうえで、修正する点、保留する点、なお残るリスクを分けて整理します。
採用するか、保留するか、差し戻すかを判断するのは、最後まで人間です。
AIは、判断を代わりに下す相手ではありません。
判断材料を増やし、視点を広げ、抜け漏れに気づくための相手です。
参加者同士で交流
講義と並行して、参加者同士でも交流の時間を設けられました。
普段使っているAIツール、プロンプト設計の工夫、うまくいかなかった経験などを共有しながら、それぞれの業務にどう活かせるかを話し合う様子が見られました。
講義で得た知識をすぐ隣の人と照らし合わせながら話せることができたようです。
イベント自体は1時間の予定でしたが、終了後も会場に残って話し込む参加者の姿が多く見られました。AIという共通のテーマをきっかけに、初対面同士でも自然と会話が生まれていました。

おわりに
AIを鍛えることは、AIにすべてを任せることではありません。
自分の問いを見直し、前提を確認し、仮説を点検し、判断材料を増やすこと。
そして、最後は人間が判断すること。
今回の交流会は、AIとの向き合い方を見直し、自分の仕事に合った使い方を考えるきっかけとなる時間でした。
六郷BASEでは、今後もこうした交流の場を通じて、起業家をはじめとする皆さんのそれぞれの事業や仕事が前に進むきっかけをつくっていきます。

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