六郷BASE

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ROKUGO BASE Magazine

【アクセラレーションプログラム ものづくりCOMPASS】参加者インタビュー/株式会社カシオペアテクノロジーズ・千葉昭宏さん

REPORT
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ものづくり分野で起業したい人を応援する、六郷BASEのアクセラレーションプログラム「ものづくりCOMPASS(旧ものづくりCAMP)」。60日間でアイデアから「市場性のある」企画へと進化させるプログラムが、今年も9月6日からスタートします。

こちらの記事では、過去の参加者にインタビュー。「具体的にどんなことを学ぶの?」「雰囲気はどう?」「参加してどう変わった?」などのお話を伺っていきます。起業に興味がある、やってみたい事業構想がある方は、ぜひご覧ください。

今回お話を伺ったのは、2025年にプログラムに参加した株式会社カシオペアテクノロジーズの千葉昭宏さんです。大学で研究していた技術を元に起業しようと決めたものの、「考えるほどに道のりが長いと気づいた」という千葉さんが、プログラムで学んだことはどのようなものだったのでしょうか?

2026年度のものづくりCOMPASSはこちらから

災害や事故の現場にいる人々の存在を知って

——株式会社カシオペアテクノロジーズでは、磁石から出ている磁場を利用して屋内や地下にいる人や物の位置を把握する技術のサービス化を進めていますね。もともとは、千葉さんご自身が大学で研究していた内容だと伺いました。

そうですね。大学では、計測した磁場の情報を数式を使って位置の情報に変換する研究をしていました。その技術を活かして、何か人々や社会の役に立てないかと思い、消防や建設などの現場で働く人々の安全確保のための装置を開発しています。今はGPSで正確な位置が把握しづらい現場で働く人の位置を含めて見守れたら、事故など万が一のときにもすぐに助けられます。私たちの安全やインフラを守る人々が安心して働ける環境を作れるのでは、と思っています。

——そもそも、なぜ磁場の研究を?

もともとは、子どもの頃に「地下鉄サリン事件」や「阪神・淡路大震災」などのニュースを見ていたことが影響しているかもしれません。私自身は被災していないですが、人的にも自然発生的にも災害というものは起こるんだと思いました。そして、そういう現場で働く人たちがいるんだということも意識していたと思います。私自身は理系だったこともあり、レスキューロボットの研究がしたくて大学に進みました。

ただ、実際に大学に進んだとき、SUICAやPASMOなどのICタグのおもしろさに惹かれて、ICカードから出る磁場の研究に没頭していきました。当時はあまり、社会的なニーズまでは考えていなかったように思います。

——それが起業へとつながったのは、なぜでしょう?

大学の研究を社会実装するときには、大学で特許を取り民間企業に技術を使ってもらう方法があり、私たちもそうしました。でも、実用化してくれる企業ってなかなか現れないんですよね。どうにか社会実装しないと研究がお蔵入りになってしまうという思いもあって、それなら会社員をしながら自分でやってみようと。私自身のなかにあった消防や建設現場などのインフラ業界で働くフィールドワーカーの人たちへの思いとつながって、起業に向けて準備を始めたんです。

起業に向けて「これはまずい」からのスタート

——企業で研究職として働く傍らで起業することを決め、まずどのようなところから始めたんでしょうか?

最初は起業に関する知識もないし、解像度の低い状態でどうしよう、と。気持ちだけで走り始めたものの、準備を進めるほどに「これはまずいな」と感じて……。技術はあってもそのままビジネスにはならないので、事業化や経営のノウハウ、お金に関する知識などが必要でした。私の場合は、ハードウェアとソフトウェアそれぞれ必要になる事業だったので、それもどのような体制で作っていけばいいのかなど、わからないことだらけでしたね。

——「ものづくりCOMPASS」を知ったのは、どのような経緯でしたか?

ちょうど開催の少し前に六郷BASEに入居したんです。私は兼業で起業しているので、週末や夜も開いている施設を探していたのでちょうどよかったんですよね。プロダクトのある事業をすると決めていたので、町工場とのつながりや試作室があるのも魅力的でした。2025年の8月に入居し、プログラムのことを聞いて参加を決めた形です。

——実際に参加して、どうでしたか?

内容も流れも納得感があり、「よくできたプログラムだな」と思いました。例えば、キックオフに続いて受けた「ペーパープロトタイプ製作」の回では、自分の事業で必要なプロダクトを実際に紙で作ります。それがあることで、その後の講義でも講師の先生などに「私はこういう事業を始めたいんだ」と伝えやすくて。自分のなかでも実際の大きさなどのイメージがしやすくなりました。

——事業構想を言葉にしてまとめるだけではなく、実際に形にしてみるのもこのプログラムの特徴ですね。そのほかにも、DAY1のキックオフから最後のDEMO DAYまで、盛りだくさんの内容だったかと思います。

すべてが印象的でしたね。DAY3の「ハードウェアマーケティング戦略」で先輩起業家の話を聞くことで、自分がこれから歩む起業の道がイメージできましたし、「特許戦略」や「プレゼンブラッシュアップ」も起業で欠かせない知識やスキルでした。プレゼンに関しては構成や作り方のみならず、話し方のプロからプレゼンに臨む姿勢や緊張の取り方などを教えてもらえたのがよかったです。

成果発表がそのまま契約へとつながった

——なかでも、特に影響を受けた回はありますか?

DAY4の「製造業パートナーシップ」で、実際に大田区の町工場目線の話が聞けたのは、その後の事業の進め方にも大きく影響したと思います。講義のなかでは「町工場の人との付き合い方」について聞き、私もハードウェア製造を町工場に委託する際にとても参考にさせていただきました。

——委託先であるBrand Maker Enabler株式会社(以下、BME)さんとの出会いは、大田区産業振興協会のマッチング事業であるOTASだと伺いました。ちょうど「ものづくりCOMPASS」でもご縁があったとか?

そうなんです。もともと産業振興協会の方に「こういうデバイスを作りたい」と相談してご紹介まではいただいている状態でした。それで連絡してみたところ、プログラム後半のスペシャルイベント「プロダクトアイデア交流会@ベンチャーフレンドリー塾」にいらっしゃることがわかって。そこで直接ご挨拶できたんです。

最後のDEMO DAYにも来て成果発表を聞いてくださったので、私の事業でやりたいことはすでに伝わっている状態で話を進めることができたのも、ありがたかったですね。そのまま順調に契約に至りました。

——同じ大田区だからこそのつながりですね。

本当にそうです。契約までの話し合いやデバイスを作っていく過程でも、「何に気をつけて、何を伝えるべきか」というのも、DAY4の「製造業パートナーシップ」で教えてもらえていたので、とてもスムーズでした。私の場合は「目的は製品化ではなくて実証です」とお伝えしたり、「とにかく動くことを優先して、電池は持たなくても大丈夫」などと条件を先に提示したり。資金面なども最初にしっかりとお伝えできたかと思います。

——確かに受注側にとって「どんな情報が必要か」「どんな進め方がやりやすいか」という点は、依頼する側からは見えづらい部分もあると思います。

BMEさんからはやりやすいと言っていただけているのも、先に「ものづくりCOMPASS」でそのあたりを教えてもらえていたからこそ。お付き合いが順調なので、今後の開発も引き続き、二人三脚で進めていく予定です。

具体的に「やりたい」を応援

——2025年の「ものづくりCOMPASS」の参加中に起業されて、1年弱。現在の事業はどのような段階でしょうか?

現在は、試作機の開発を進めながら、実用に向けた改良を進めています。それと同時に、実際に消防や建築現場などのみなさんにお話を伺いながらユースケースを見つけようとしているところですね。僕らはニーズから生まれたプロダクトではなく、先に技術やアイデアがあったプロダクトアウト型なので、実際に買ってくれる人がいるのかも含めて探索しているところです。

——手応えはいかがですか?

内容に共感してくださったり、人を紹介してくださる方もいて、心強さもあります。一方で、正直、厳しい意見もいただきます。それがやはり大学の研究とビジネスの違うところだな、と。「磁場で位置がわかるのがおもしろい」だけではダメで、「それでどうするの?」「ちゃんと儲かるの?」が常に問われます。今は、位置がわかるだけでなく、周辺の温度やガス濃度、装着者の体勢などがわかるセンサーと組み合わせるアイデアを進めています。

私たちの社名の由来でもある「カシオペア座」は、北極星を見つける目印となる星座です。北極星のような研究を、より人々に見つけてもらいやすく、使ってもらいやすい技術として提供する。そのために、より実装しやすい形を模索しています。

——素敵です!「ものづくりCOMPASS」の中でも、他の参加者や講師陣からのフィードバックはありましたか?どのような雰囲気だったんでしょう。

このプログラムでよかったなと思ったのは、基本的に前向きな雰囲気だったことですね。もちろん、しっかりとアドバイスや指摘もくれるのですが、基本的には「どうすれば、それぞれのやりたいことを進められるだろう」というスタンスで寄り添ってくれたので、とてもありがたかったです。「やりたいんだ」という思いをとても大事にしてくれているのを感じていました。

——最後に、2026年のプログラムへの参加を検討している方に向けて、何かメッセージがあればお願いします。

何かやりたいことがあるけれど、どうやって一歩を踏み出せばいいかわからない方に、ぜひオススメしたいです。周りの人が非常に前向きに応援してくれるし、体系立てて具体的なノウハウも教えてくれます。1歩踏み出すだけでなく、その先に何が起こるのかも含めて体験できるプログラムなので、ぜひチャレンジしてみてください。

——千葉さん、ありがとうございました!今後の事業も応援しています!


六郷BASEアクセラレーションプログラム第5期 ものづくりCOMPASS
プロダクト開発を加速させる60日間のアクセラレーションプログラム。
5年目となる今年のテーマは「市場で選ばれるプロダクト企画の完成」です。
誰に、いくらで、どのように届けるのか。プロダクト開発の基盤となる「企画」に特化し、大田区の町工場ネットワーク・専属メンター・各分野の専門家が伴走。
あなたのアイデアを市場で勝てるプロダクトへ徹底的に磨き上げます。

■概要
【プログラム実施期間】
2026年9月6日(日)~2026年11月1日(日)
【形式】現地開催(六郷BASE及びPiO PARK)
【参加費】無料
【採択予定者数】8枠
【主催】六郷BASE

■応募概要
【応募期間】
2026年6月10日(水)~2026年7月31日(金)23:59
【応募方法】
六郷BASEイベントページの「イベント申込み」よりご応募ください。
https://rokugobase.com/event/8562/