ROKUGO BASE Magazine
【アクセラレーションプログラム ものづくりCOMPASS】参加者インタビュー/コスパ研究室合同会社・ケチエさん
ものづくり分野で起業したい人を応援する、六郷BASEのアクセラレーションプログラム「ものづくりCOMPASS(旧ものづくりCAMP)」。60日間でアイデアから「市場性のある」企画へと進化させるプログラムが、今年も9月6日からスタートします。
こちらの記事では、過去の参加者にインタビュー。「具体的にどんなことを学ぶの?」「雰囲気はどう?」「参加してどう変わった?」などのお話を伺っていきます。起業に興味がある、やってみたい事業構想がある方は、ぜひご覧ください。
今回は、2024年に3期生としてプログラムに参加した、コスパ研究室合同会社のケチエさん。自身のYoutubeで反響の大きかった臭わないゴミ箱を、自分の手で作りたい!とプログラムに参加。アイデアを実際に形にして、商品化していくまでの道のりを伺いました。
2026年度のものづくりCOMPASSはこちらから
ものづくりに特化したアクセラに希望を感じて
——ケチエさんは2022年から「コスパ研究室」というYoutubeで、掃除や料理などの家事から美容に至るまで、幅広く発信しています。どのようなきっかけで発信を始められたんですか?
子育てを終えて「第二の人生で何をしようかな」と考え始めたのがきっかけで、自分の得意はなんだろうと考えたら家事でした。それまでもパートで、清掃やベビーシッターなど家事や掃除に関わる仕事をしていましたし、友人やシッター先の方に「こうしたら楽だよ」と話すと「知らなかった!」と言われることも多くて。これは役に立つことなのかな?と試す気持ちからYouTubeの発信を始めました。

——開設から4年、今では2万人を超える方々がケチエさんの動画を楽しみにしています。ご自身のものづくりのきっかけになった、臭わないゴミ箱の投稿も反響が大きかったそうですね。
そうですね。生ごみが臭わない条件はわかっていたので動画にまとめましたが、当時はそれを叶えるゴミ箱がなかったので傘立てで自作していました。動画への反響が大きかったこと もあって、やっぱり自分でゴミ箱を作りたい!と。2023年に開業届を出して、動き始めました。
——「ものづくりCOMPASS」に参加されたのは2024年なので、1年ほど間が空いていますが、その間はどのような活動をされていたんですか?
最初はどこかのメーカーと組んでオリジナルのゴミ箱を作れないかと考えていて、営業したりメールで連絡したりしていました。ただ、実際にお話を聞いてくださったり返信してくださるメーカーさんはほとんどなくて……なかなか話が進みませんでした。実際に話をしても「CADを使った図面は出せますか?」など知らないことがたくさんあって、構想だけじゃダメなんだと。実現に向けて自分でも動かないとな、と気づきました。
結局は自分で作るのが一番早いのかもしれない、と考えていた頃にこのアクセラレーションプログラムを知りました。友人に「私にぴったりのプログラムを見つけた気がする!」と大急ぎで資料作りを手伝ってもらったりして。募集枠が8名と少なかったので、どうしても入りたい!という思いで応募したのを覚えています。
「無責任な」意見交換で磨かれていったアイデア
——ケチエさんの場合は、プログラムが始まった時点で作りたいものがかなり明確だったんですね。
大きさや素材、こだわりたいポイントまでかなり明確にありました。プログラム初期、紙や段ボールでプロトタイプを作る講義でも、手がさくさく動きました。小学校の頃の自由工作の時間のようで、ワクワクした時間で。講師の方から「作るの何回目ですか?」と聞かれたのを覚えています(笑)

——そこまでビジネスの内容が決まっているなかで、「ものづくりCOMPASS」で有益だったと思うことはありましたか?
自分なりに決めていた「絶対にこれがいい」という形が、 プログラムを通してかなりブラッシュアップされたと思います。特に印象に残っているのは、講師の先生が仰った「無責任な意見を大事にしよう」という言葉。私の想いを知っている友人は、意見が甘くなったり、忖度したりしがちだと。もっと無責任に「こうだったらいいのに」「そんなの売れないよ」と言ってくれる人の意見にこそ真実があるので大事にしてくださいと言われて、実際に参加者同士で意見を言い合いました。
——ゴミ箱に関して、もらえてよかった意見はどんなものですか?
「臭わない理由がとても信じられないから、データを出すべきだ」という意見をみなさんに言われました。「人が不快に思うニオイ」は微量で快、不快の差が出るため、機器検査で図ることはとても難しいと言われています。実際にチャレンジしましたが、数値に大きな差は出ませんでした。それで臭いの元を作る可能性がある嫌気性細菌の数を検査して、データで見ていただくように変更しました。今では、説得力のある情報が出せるようになったと思います。
また、私以外の参加者は全員男性だったので、まず家事やゴミ箱に対する認識も全然違いました。例えば、私は壊れにくさや捨てやすさ、電気代などを考えて手動の蓋にこだわっていたのですが、ガジェット好きな男性陣からは「電動にしたらいいのに」など高スペックな提案も多くて。実際に商品のメリットを紹介するときには、事前に彼らに説明していたことを盛り込むことができましたね。

——自分と違う視点での意見をもらえるのは、確かにありがたいですね。
それまでは女性の意見しか聞いたことがなかったので新鮮でした。ターゲットが女性だからいいよねと思っていたこともありましたが、その後、商品作りの過程で出会う方やピッチの審査員、VCの方々は男性も多かったので、その前に男性と意見交換できたのはよかったと思います。
——プログラムの参加者同士だからこそ、ざっくばらんに意見が言い合える部分もあったのかもしれませんね。「ものづくりCOMPASS」全体の雰囲気はどうでしたか?
参加者のみなさんが真剣にものづくりに取り組む方々だったので、いただくご意見も具体的なビジネスを想定したものが多く、大変参考になりました。みんな、ただ起業したい・儲けたいというわけではなく、「これを作りたい」「社会の役に立ちたい」という熱い想いのある方が多かったように思います。ものづくりという共通点があるからか共感したり応援しあったり、いい時間を過ごせました。
学びを通して、どんどん具体的になっていった
——「ものづくりCOMPASS」の参加から2年。ついに2026年7月にオリジナルゴミ箱「SKETTO」のクラウドファンディングを通した販売が始まりました。プログラムの中で、今の事業につながったことなどはありますか?
ありすぎて……というか、「ものづくりCOMPASS」がなかったら、実際に商品を発売するところまで来ていなかったと思います。特に、試作室でCADを勉強できたのは、かなり大きかったですね。商品化の過程で図面を見せると「CADまで書いてきたんだ!」と本気度を見せることができて先方の反応も全然違いますし、私自身のなかでも自信になりました。

——試作室を気軽に利用できることは「ものづくりCOMPASS」の特徴でもあるので、活用いただけてよかったです。
試作室を自由に使えるだけでなく、その場に指導員の方がいてCADの使い方を習えたのがとてもよかったです。私はプログラム後もしばらく試作室に通ってCADを触らせてもらっていました。
——そのほか、印象に残っていることはありますか?
マーケティングや事業計画を学ぶなかで、講師の先生が「フォーマット的な道筋はあるけれど、実際の事業はどこからスタートしてもいいし、道を行ったり来たりしてもいい。間違ったら戻ればいい」とおっしゃっていたのが印象的でした。起業やビジネスについて学ぶことは大切ですが、そこにこだわる必要はないんだ、と。
私は家事についても、それぞれが自分なりのやり方で工夫できるのが好きなんです。「こうしなきゃいけない」というものは昔から苦手なので、自分らしいやり方で進んでいけばいいと言ってもらえて嬉しかったですね。

——CADなどの具体的なところでも、起業家としてのマインドセットの部分でも、学びがあったのだなと思いました。
漠然と描いていた夢がステップごとに具体化していく感じがありました。私にとって、具体的にものづくりをスタートする最初の一歩がまさに、このプログラムだったと思っています。
どんな状態であっても、飛び込んでみたらと伝えたい
——「ものづくりCOMPASS」に参加後、「Tokyo ものづくり Movement」にも採択され、「第15回ウーマンズビジネスグランプリ2026 in品川」でも4冠達成。7月にはいよいよクラウドファンディングが始まりましたね。
今、ワクワクする気持ちしかないのは、「すごくいいものができた」と自信を持って言えるからなんだと思います。早く届けたいという気持ちが強いです。

——ウェブサイトやクラウドファンディングのモニターとして、六郷BASEのスタッフも感想を寄せさせてもらっています。
そうなんです。コメントを見て思わず嬉しくなったんですけど、スタッフさんも応援はしつつ「本当に臭わないの?」と半信半疑だったらしくて……それを本当に臭わなかった!と驚かすことができたのが、とても自信になりました。
——最後に、2026年のプログラムで一歩を踏み出したいなと思っている方へ、何かメッセージがあればお願いします。
悩んでる暇があったら応募したほうがいい、と伝えたいです。参加費無料ですし、まずは飛び込んでみたらって。私の場合は作りたいものがはっきりしていましたが、参加者の中には「持っている技術でどんな事業ができるだろう?」という方もいました。みんなで「こんな課題が解決できるのでは」と意見を出し合った結果、今その方は医療関係で活躍されています。どんな状態であっても、いろいろな人の意見を聞けるプログラムは大事なんだろうなと思いますね。何かの技術やものづくりで人の役に立ちたいと思っている方は、ぜひチャレンジしてほしいです。
——ケチエさん、ありがとうございました!今後のご活躍も楽しみにしています!

六郷BASEアクセラレーションプログラム第5期 ものづくりCOMPASS
プロダクト開発を加速させる60日間のアクセラレーションプログラム。
5年目となる今年のテーマは「市場で選ばれるプロダクト企画の完成」です。
誰に、いくらで、どのように届けるのか。プロダクト開発の基盤となる「企画」に特化し、大田区の町工場ネットワーク・専属メンター・各分野の専門家が伴走。
あなたのアイデアを市場で勝てるプロダクトへ徹底的に磨き上げます。
■概要
【プログラム実施期間】
2026年9月6日(日)~2026年11月1日(日)
【形式】現地開催(六郷BASE及びPiO PARK)
【参加費】無料
【採択予定者数】8枠
【主催】六郷BASE
■応募概要
【応募期間】
2026年6月10日(水)~2026年7月31日(金)23:59
【応募方法】
六郷BASEイベントページの「イベント申込み」よりご応募ください。
https://rokugobase.com/event/8562/



